オトナな部長に独占されて!?
でも……。
葉月部長の綺麗な寝顔を見ながら、悔しいという感情が勝手に湧いてきてしまう。
男じゃなく女性の上司なら、私は無条件で憧れたことだろう。
自分もいつか、そんな風になりたいって……。
きっと、性別にこだわりすぎているのは、私の方なんだろうね。
それでも男に負けたくないという気持ちは消せないし、実家の男どもや、下山に狸オヤジ、西園寺部長を腹立たしく思う気持ちはなくなりそうにない。
スースーと寝息さえ美しく立てる葉月部長に背を向けて、歩き出した。
一歩二歩、彼から離れた所で、急に声を掛けられた。
「第二営業部の高村円香さん」
ビクッと肩を揺らして驚いてから顔だけ振り向くと、今まで寝ていたはずの葉月部長が、長い足を組んでベンチにゆったりと腰掛けていた。
「ここはあなたの休憩場所でしたか?
ベンチを取ってしまい、申し訳ない」
「いえ……そんなことはないです。
気分転換に来てみただけで、そのベンチは私の私物ではありませんし……」
「そうですか。
では、隣に座りませんか?」