オトナな部長に独占されて!?



興奮気味に話された通話は、一方的に切られてしまった。


私は口をぽかんと開けたまま、無音に戻ったスマホをゆっくりとテーブル上に置いた。



「高村さん、契約が一件成立しそうですね。
おめでとう」


「ありがとう……ございます……」



葉月部長が渡した白い封筒の中身は、レトロモダンに改装した鶴亀写真館のイメージ画だったんだ……。


部長は突然私の営業に同行するといった訳じゃなく、前々から鶴亀写真館のことを調べて動いていたんだね。


それはどうして?

私が困っていることに気付いたから、助けようと思ったの?



どうして?と思うことはまだある。

私が出した最終プランはカジュアルポップだったけど、一番最初に作った案は、私もレトロモダンだったのに。


部長が作った物を見ていないからよく分からないけど、私が作ったプランは駄目で、部長のプランでOKが出たのはどうして……。


あ、そうか。

鶴亀写真館の表面的な問題しか見えていなかった私に対し、部長は根本的な問題を考えた上でプランニングしたからか。


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