オトナな部長に独占されて!?
23時には退社したいと思い、意識をパソコン画面に戻す。
右手でマウスを操りながら、左手を珈琲カップに伸ばした。
でも、口元まで持ってきて、カップが空なことに気づく。
デスクワーク中は珈琲を欠かさない私。
脳が糖分を要求してくるから、スティックシュガーを5本も溶かした激甘にしてある。
珈琲入れてこないと……そう思ったら、デスクに自販機で売っている紙コップのカフェオレがトンと置かれた。
驚いて隣を見上げると、葉月部長が立っている。
「部長……お帰りになったはずでは?」
確か20時過ぎに、葉月部長は鞄とコートを手に営業部フロアを出て行った。
帰ったと思っていたのに、違ったの?
驚く私を見てクスリと笑い、部長は説明してくれた。
「津田島コーポレーションとの契約に出ていました。あちらの都合で、20時半を設定されましたので」
「それは、遅くまでお疲れ様でした。
あ……カフェオレ、ありがとうございます」
「どういたしまして。高村さんは今日は一段と頑張っているようですね。何かありましたか?」
「いえ、特に問題があって残っているわけじゃないんですが……」