オトナな部長に独占されて!?
明日は5件も営業を入れてしまったことを説明し、パソコン画面を指差して、これを作成したら終わりであることも話した。
残業内容を説明しながら、頭の中にこの前のことを謝らなくてはという思いがチラつく。
周りには、誰もいない。
謝罪にはまさに今がうってつけ。
性格がどうこう言って、逃げてはダメだよ。
謝れ……謝るんだ、私……。
部長が差し入れてくれたカフェオレを一口飲んでから、意を決して謝ろうとしたが、先に葉月部長に話しかけられてしまった。
「高村さん、席を譲ってください」
「へ? は、はい……」
よく分からないままに席を立つと、部長が椅子に座って、私の仕事の続きをやり始めた。
私の何倍もの速さでキーボードに指を走らせ、マウスを操る部長。
その仕事のスピードに思わず見とれそうになったが、ハッとして慌てて言った。
「部長! それは私の仕事ですので、自分でやりますから……」
「一人より二人の方が、早く終わりますよ。
それに、責任も感じているので手伝わせてください」
「責任?」
「はい。高村さんに遅くまで残業させている責任は、私にあります。
業務量の振り分けに問題があったようですね。
これは私のミスです。今まで気付かずにいて、申し訳ありませんでした」
「そんな……」