オトナな部長に独占されて!?
部長のせいだなんて、そんなことはないのに。
全ては私が勝手にやっていること。
負けたくないから……男なんかに負けたくないから……いつもスケジュールギッチギチで手一杯になるほどに仕事を受けてしまう。
第二営業部の先輩達は『やりたきゃやれば、自分の力で』というスタンスだけど、葉月部長は管理職としての責任を感じてしまうんだね……。
反論できずに私は隣のデスクを借りて、プリントアウトした資料をファイルに綴じる手作業をしていた。
物凄いスピードで私の仕事を片付けていく葉月部長は、視線をパソコン画面に据えたまま、諭すように語りかけてきた。
「高村さん、あなたの頑張りは伝わってきますが、時には頼ることも必要ですよ。
もっと肩の力を抜いた方がいい。
気持ちに余裕がないと、いい仕事もできませんから」
その言葉に胸が痛くなる。
ガッチガチに固めた心の鎧が、はがれてしまいそう……。
男に負けたくない。
自分の力だけで何でもやりたい。
女だからと言われないポジションに早くのし上がりたい。
そんな風に強がって生きてきたけど……部長の言うように頼った方がいいのかな。
葉月部長になら頼ってもそんなに嫌じゃないような……。
でも、部長も私の嫌いな男という生き物には違いないし……。