オトナな部長に独占されて!?



葉月部長とふたりで食事……。

頭に浮かんだのは、部長を食事に誘って玉砕していた立花萌のガッカリした顔だった。


恋する彼女になぜか申し訳ない気持ちになるけれど、これは絶好の謝罪のチャンスと思って誘いを受けることにする。

ただし、条件付きだけど。



「私の奢りでもいいなら、行きます」


「高村さんの奢り? なぜ?
部下のあなたに、支払いをさせたくないのですが」



「それじゃ困るんです!

お願いですから、ご馳走させてください。
この前のこと……大変申し訳ありませんでした。
その場ですぐに謝るべきなのに、今日まで流してしまったことも反省しています。

そのお詫びに、是非とも食事を奢らせてもらいたいんです!」



部長はハンサムな眉間を寄せて、何かを考えている様子。

“ この前のこと ” が、すぐに分からなかったみたい。

少し考えてから、「ああ、鶴亀写真館の帰りのことですか」と思い出し、それから楽しそうに肩を揺らして笑っていた。


私はなぜ笑われているのか分からず、戸惑うばかり。


頭に大きな手の平が乗せられ、優しく二回叩かれた。


長い足を曲げて、イケメンフェイスを私の顔と同じ高さに持ってくるから、勝手に顔が赤くなってしまう。



「高村さんの性格が、最近になってようやくわかってきました。嬉しいですね。

取り敢えず、食事をしに行きましょう。
パソコンの電源を落として準備してください。

あなたと一緒に行きたい店は食べ物のラストオーダーが22時半ですので、急いで下さい」



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