オトナな部長に独占されて!?



デザートを食べ終えると、23時半になっていた。

「ご馳走様でした」と席を立とうとしたら、

「高村さん、私が飲み足りないので、あと一杯だけ付き合っていただけませんか?」

と言われた。


「はい、構いませんが」


私の目の前には、本日3杯目のグラスワインが置かれた。


お酒は強くも弱くもない。

3杯目に口を付けながら、頬が火照って頭がちょっとフワッとするという程度に酔っていた。


部長は全く酔っていないみたい。

端正な顔に普段通りの紳士的な微笑みをたたえ……あれ? 気のせいかな。

いつもより、色っぽく見えるんだけど……。


それは、夜景が綺麗なフランス料理店にいるせいなのか、私が少々酔っているせいでそう見えるのかもしれないけど。



半分飲んだグラスワインをテーブルに置き、葉月部長は夜景を眺めている。


私に横顔を見せながら、窓の外に向けて静かに語り出した。



「本社に転属になった初日から、気になっていることがありました。

今は何となく分かってきたのですが、まだ核心に触れることができずにいて、もどかしい……」



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