オトナな部長に独占されて!?
気になること?
分かりかけて、核心に届かなくて、もどかしいこと?
葉月部長が相当にできる人なのは、今はもう認めている。と言うか、認めざるを得ない。
そんな凄い人を困らせている事とは、一体何だろうと気になった。
夜景に向けて喋っているので、もしかしたら部長の独り言だったのかもしれないけど、私は気になった事は聞かずにはいられない性分。
それで、ズバッと聞いてみた。
「部長の気になる事とは、何ですか?」と。
夜景を映すダークブラウンの美しい瞳が、私に流された。
大人の色気を隠さない流し目に心臓がドキンと跳ねた後は、ワインを吹き出しそうになる答えを返されてしまった。
「高村円香さん。
あなたが気になって仕方ない」
わ、私⁉︎
冗談……じゃないみたいど、部長みたいに完璧な人が、私の何が気になるって言うの?
女性としてってことは、あり得ないと思う。
じゃあ、仕事のことになるよね?
仕事はきちんとやっているよ。
もっと他の人を頼った方がいいと言われるほどに、やっている。
人に頼れない私よりも、もっと気にした方がいい社員はいるはずだよ?
誰とは言いたくないけど、会社に遊びに来ているのかと怒りたくなる人も、隣のデスクにいるし……。
私の仕事の仕方が気に食わないのかと内心焦っていたら、テーブルの上に置いていた左手に、葉月部長が手を重ねてきた。