オトナな部長に独占されて!?
この件にも、葉月部長が……。
ふーん。そうですか。
部長デスクを鋭く睨みつけてみたけど、視線は合わない。
葉月部長は何食わぬ顔して、いつも通りスマートに仕事をこなしているだけ。
困り顔の係長に視線を戻した私は、さっき突き返したばかりのA4紙を奪うように取り戻した。
「やります」
「そうだよね……えっ⁉︎ やるの⁉︎
ちょっと待ってよ、高村さん。断った方がいいって。
年間8桁を落としてくれてる、うちの会社の大事な客だよ?
ミスったら、シャレにならないって!」
「大丈夫です。やらせて下さい。ミスはしないとお約束します。
つきましては、栄繁さんの今までの情報を頂きたいのですが、元担当は第三営業部の高橋課長ですよね?
今、引き継ぎしてもらえるか、聞いてきます」
「本当にやるの?
僕はどうなっても知らないよ?
尻拭いはごめんだからね」
その後は小会議室に移動して、第三営業部の高橋課長に引き継ぎをしてもらった。
引き受けたのは、私を潰そうとしている葉月部長に対する怒りと悔しさからの、勢いでと言ったところ。
それが安易だったということは、引き継ぎを受けている最中に気付く。
本当に私に出来るだろうか……。
もし何かヘマしてしまったら、会社に多大な損失を与えることになるのに……。