オトナな部長に独占されて!?



第三営業部の課長は白髪混じりの短髪をゴシゴシ擦って、諦めたような面倒くさそうな態度で大あくび。


この担当替えが葉月部長の指示であることを係長はポロっとこぼして焦っていたけど、高橋課長は隠さず堂々と、部長批判をしていた。



「こんな若僧で大丈夫かと不安に思ったが、ここに来て現実になっちまったなぁ。

いくら高村じゃまだ無理だと言っても、頑として聞き入れない。葉月部長には呆れたよ。

まぁ、何かあった場合の全責任は部長が取ると言ってたし、栄繁さんを失っても、あの生意気小僧を排除できるならいいかもな。

高村は不運だったな。

失敗した時は、部長に無理やりやらされたんです〜とか言って泣けば許されるかもな。

そういう面で、女って楽でいいよな〜」



高橋課長も、どうやら女を見下す人みたい。

そう言えば、第二営業部の係長も、『3年目の女の子に』と口にしていたから同類なのかも。



今までの私なら憤慨するところだが、今はそれどころじゃなかった。


課長や係長の女性軽視なんて、どうでもいい。

そんなことより、自分の営業マン人生を掛けるつもりで取り組まないと、大変なことになる……。


栄繁さんは、来春に5店舗の新しい居酒屋チェーン店を開きたいらしく、そのプランニングを依頼していた。


チェーン展開の店は既に決まった形があるので考えることは少ないが、スピードが大切。

何より5店舗分も同時進行なんて、私にできるだろうか……。


今、私が抱えている、他の小口のクライアントはどうしよう?

誰かに担当を代わってもらうことはできるのだろうか?


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