片思い二年、私の恋は叶わない

 溜息を吐き、踏み出した足が止まった。

 「…話にきた」

 早朝8時の改札の傍。

 いるはずのない、面識も薄い男が立っていた。

 長身細身、切れ長の細目。

 朝が似合わない男が、首を傾げた。

 「仕事?」

 平日の朝に仕事に行かない社会人の方が珍しかろう。

 「…なんでいるのよ小野田翠」

 「あんたがよんだから」

 「それは昨日、いや今日か!でも、なんでここに」

 「ぐうぜん?」

 謎な男小野田翠は、私の持っていた鞄を指さして言った。

 「仕事いくのか?」

 「休むにきまってるでしょう!」

 結果、私は仕事を休んでしまった。

 
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