片思い二年、私の恋は叶わない

 「寧には好きな人がいる」

 「…あなた、知ってるの?知っててそんなことしてるの?最低、さいていね!」

 静かに声を抑えていえた。

 目の前の狡賢い男は、つまらないこととでも言いたげに平静だった。

 「俺は何もしてない」

 「巻き込んでるじゃない。あなたは寧を利用してるじゃない」

 寧の気持ちを利用してる。

 「俺に会って何を言うつもりだった?」

 不意の質問に、一瞬何を聞かれたかわからなかった。

 「寧を傷つけないでって…」

 「物理的でない以上それはあいつ次第だろ」

 そう、なんだ。

 精神的に傷つけられているということは、すべて寧の心の中の問題。

 第三者がとやかく言えることじゃない。

 「寧と距離をおいてよ」

 「俺と寧の勝手だろう、彼女でもないくせに」

 カノジョでもナイ。

 言える権利も、言える資格もない。

< 21 / 30 >

この作品をシェア

pagetop