片思い二年、私の恋は叶わない

 湧き上がっていた怒りが収まっていくのがわかった。

 私は寧の親友。

 親友として主張できることの域を超えている。

 それでも、好きな人が傷つく姿なんて見ていたくない。

 「俺が寧を突き放せば、傷ついた寧の心の隙間に入り込めるとでも思った?」

 嫌味なことをいう男の顔を見た。

 意地悪を言うくせに真剣な目をしていた。

 「…入れるわけないじゃない」

 「入れない確証もない」

 「…バカみたい。そこまで性格悪くないわよ私」

 「性格悪いとは言わないだろ。当然のことのように皆やっていることだ。人は皆、自分に甘い」

 今、何か聞こえた気がした。

 聞き取れたはずだったのに、上手く脳内で処理できなかった。

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