片思い二年、私の恋は叶わない

 目の前の男は、荒んだ目で私を見ていた。

 正確には何も見ていない。

 私なんて見ていなかった。

 「騙し合い、絡んでいるようですべてすれ違っているんだ。そういうものだ」
 
 「なんの話をしてるの」

 「人は賢く狡い。それが人だ。あんたも寧を手に入れる為に俺が邪魔だろう。だから蹴落とせばいい」

 蹴落とされにきたのだろうか。

 狡猾さを持ち合わせていないのか、いるのか。

 現在不明なこの男の戯言は、胸の奥深くに眠る私の中の何かに語り掛けてくる。

 「俺は弱い、それ故あいつを傷つける。傍にいれば必ずつき離し、それにまたあいつは傷つく。縋れば巻き込み、離れるほどにあいつは引き寄せられる。共に何も生み出さずただ抜け出せぬなら蹴落とせばいい。皆やっている。問題ない」

 なんだろう、この感じ。

 変だ、何かが。

 何かが歪んで見える。

 
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