元ヤン少女が進学校へ。


…あたしの前には、柊季の後ろ姿だけ。


そんな状況に
不覚にもあたしは、ドキドキしていた。


この感覚を言葉で表すならば…


体育館の前に1人で立って
全校生徒の視線を浴びる中、
祝辞を言う時のような緊張感…


…まるでそんな感覚だ。


階段を下り
教室が近付いてきた…そのとき


柊季は、急に立ち止まった。


「ぅお…!」


あまりの緊張で、
反射神経が鈍くなったあたしは
そのまま柊季に背中にぶつかってしまった。


そして、こんな滅多にない展開だと言うのに
『ぅお…!』と、可愛気の無い声が出る自分が
憎くて、憎くて仕方ないぜ。


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