元ヤン少女が進学校へ。


「…うん、避けてごめんね。」


あたし、自分が思ってる以上に
柊季のこと傷付けてたんだ……。


抱き締める力が強くなり
不安だったのかな……なんて思ってしまう。


だって、もし逆の立場だったら絶対嫌だし…。


"ごめん"

そんな意味を込めて、
あたしも柊季の背中に腕を回そうとした、
そのとき。


「見て!カップルが抱き合ってるよッ!」


「ひゅーひゅー!」


そんな声が聞こえ
あたしたちは、バッと離れる。


からかってきたのは
どうやら、通りすがりの中学生だった。


……でも、不思議と気まずさはなくて
顔を見合わせて
思わず2人して笑ってしまう。


「ねぇ柊季!お腹空かない?
焼き鳥食べに行こうよ!」


服についた土を落としながら
あたしはそんなことを言ってみた。


< 362 / 512 >

この作品をシェア

pagetop