元ヤン少女が進学校へ。
「…うん、避けてごめんね。」
あたし、自分が思ってる以上に
柊季のこと傷付けてたんだ……。
抱き締める力が強くなり
不安だったのかな……なんて思ってしまう。
だって、もし逆の立場だったら絶対嫌だし…。
"ごめん"
そんな意味を込めて、
あたしも柊季の背中に腕を回そうとした、
そのとき。
「見て!カップルが抱き合ってるよッ!」
「ひゅーひゅー!」
そんな声が聞こえ
あたしたちは、バッと離れる。
からかってきたのは
どうやら、通りすがりの中学生だった。
……でも、不思議と気まずさはなくて
顔を見合わせて
思わず2人して笑ってしまう。
「ねぇ柊季!お腹空かない?
焼き鳥食べに行こうよ!」
服についた土を落としながら
あたしはそんなことを言ってみた。