元ヤン少女が進学校へ。
【茉実side】
『なかったことにしていい。
……忘れていいから。だから……』
そう言って……苦しそうに歪めた柊季の顔が
頭に浮かんで、胸が張り裂けそうになる。
「……ッ…ちがうのに…」
……そんなんじゃないのに。
でも、柊季を追いかけれない自分がいて…
……追いかけれないのには、ワケがあって…
「ッ…やっぱ言えないよ…」
……今日初めて、
自分の過去を消したいって思った。
好きだからこそ、言えない。
……ヤンキーだったなんて、言えないよ。
…反応が怖い。……嫌われるのが怖い。
…だって、中学の時もそうだったんだもん。
……ヤンキーだったあたしは、
みんなに怖がられていた。