恋愛格差
突然ガバッと私の方に向かって土下座したのにはビックリした!
今、しっとりとした雰囲気の中で熱い抱擁……って場面じゃない?フツーは!
「な、なん……?」
「透子!頼む!こんな俺だけど!仙台に付いて来てください!」
え?えぇーっっ!?
「4月には行かないといけない!でも透子を離せないんだ!お願いします!」
なに?これは、なに?
言い方によってはプロポーズ。しかしこれは……
ペット連れてくみたいに言わないでほしい。
しかも土下座って!
優は額を床にスリスリしている。
「透子がまた襲われたらと思うと……ダメだ何にも手につかない……」
……自己満足?
「……私は大丈夫ですけど。それに、辞める予定の会社に退職を取り消してもらったら?」
「それは無理だ。仙台の会社は大学時代の先輩が立ち上げたゲームソフト会社で、今回も急に無理を言ったんだ。営業部長として迎えてくれることになっていて、先輩の顔は潰せない。」
知らねーよ!
あんたの事情なんか!
なんて勝手な男なんだ。私の事情は無視か!
「私だって仕事してるのに、仙台なんて無理に決まってる。」
「大丈夫。夏には東京に本社を移す予定だから。すぐ帰ってこれる。」
「え?そうなの?……いや、あのね~半年以上も仕事休む訳には行かないでしょ!」
「大丈夫!今、妊娠すれば、調度出産に伴う休暇が……」
「うるさい!」
ソファに置いてあったクッションで優の頭をバシバシと何回も叩いた。
有り得ない男だ!
本当に最低!ゆかりさんじゃないけどものすごーく憎らしい。