恋愛格差
身勝手彼氏
「と、透子……お、落ち着いてぇ……」
「落ち着けるかっ!あんたは今最低なこと言った!」
バシバシとまだクッションを降り下ろしている私の腕を掴んだ優は、「ごめん」と謝った。
「わかってる。最低なこと言った。俺は何がなんでも透子を繋いでおきたいんだ。」
「私がフラフラどこかへ行くみたいに言わないで!いっつもフラフラして浮気したりしてるのは優でしょ!」
「浮気……?」
「未だに自覚がないみたいだけど、事務所の女の子と恋人繋ぎしてさ。あ、その前は確か私が飲み会の時に繁華街で違う女の子ともキスしてたよね。
あれはぜーんぶ浮気なの!」
「あ、妬いてくれてたもんね?」
「はぁ?」
「あれね、わざと。でもキスはしてないよ。ゴミが入ってるよって覗き込んだだけ。飲み会の場所だって知ってたもんね。手を繋いでたのだって、透子探して結構歩いたんだから。」
「……はぁ?」
「透子はいつもシレーッとしてるからたまに愛されてる証拠がほしい……ってね……」
「バカーーーーッッ!!」
クッションを思いっきり優の頭に投げつけた。
「あんたなんか、あんたなんか……大っきら「もうしないよ」」
クッションでぐちゃぐちゃの頭をしたまま、優はクッションごと私をきつく抱き締めた。
「離してよっ!キライ、キライ、大キライ!!」
「俺は大スキ」
「っ!嫌いなんだってば!離して!」
「離さない。好きだから。」
「警察呼んでやる!」
「ここ、俺の家なんだけど。」
「うぅ……最低……ストーカー……」
「うん……俺、ホントに最低な男だよな……ストーカー……確かに。俺のターゲットは透子だけだけどな。」
「……」
「側にいてくれるなら、もう気を引くために無茶しないと透子に誓う。
透子だけをこの先ずっと、全身全霊で愛すよ。」
「……優」
私もそっと優の背中に手を回した。
「透子……抱いていい?」