恋愛格差

業務時間が過ぎるとすぐに優からメールが入った。

『会社で待ってて。迎えに行くから。』


今日はあれから三池さんとミキちゃんに根掘り葉掘り聞かれ、社長には今の状況報告をしておいた。

結婚はともかく仙台には付いて行くつもりだから、人員募集の件も含めて。
も、これは私が業者とやることになるだろうけど。

優を待ってる間、やっぱり三池さんは私の隣にいる。

「それにしても吉岡くんは遣り手だね!部長として呼ばれるなんて。それもアレだろ?そのソフト会社、結構面白いソフト出したよなぁ。」

「……なぜ知ってるんです?」
「俺、そのソフトに嵌まっててさぁ!」
「いや、そこではなくて。優がその会社に行くこと。」
「……え、あぁ。だって、よく話すし。以前から誘われてたって言ってたし。」

「へぇ。そうなんですか。」
「まぁ、今の会社は大手だけど、頑張って部長かその上止まりなら、自分でいつかは会社を動かしてみたいもんな、男なら。わかるなぁ。吉岡くんの気持ち。

しかも営業部長って!すげーよ。だってその会社、来年には教育事業に参入するってビジネス誌に出てたし、いずれ上場すると思うぜ。そこの花形部署の部長!」

優は確かに逃げようとしたのだ。ここから。
なのに、なぜか確かに捨て去ろうとした立場より上に上がっている……ような気がする……。


「こんばんは。」
爽やかスマイルで事務所に入ってきた優は私を見つけるとにっこり微笑んだ。


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