恋愛格差

「佐藤さんがね～
いつまで経ってもカズくんが彼女の一人も連れてこないから、家族写真を撮るって騙して写真館に連れていって見合い写真を撮らせたんだって。
見合い写真とか作ったら『親の本気』を見せつけられるって！
案の定、カズくんはメチャクチャ焦ってたみたいよ♪」

「親の本気って……」

「カズくん、もうすぐ30だからね～心配なんでしょ。
うちは女の子だからもっと心配なんだけど……」

よよよ…とエプロンの裾を目の端に当てて
悲しそうに私を見る。

「はいはい、ごめんね。行き遅れになりそうな娘で。」

「だからあんたも見合い写真撮ってきなさい。」

「はぁ？見合い写真とかイマドキ有り得ない。」

「だったらちょうどいいからカズくんと会ってきて。」

佐藤さん家と親戚になるなら安心だわ～と訳のわかんないことをいう母を尻目にお風呂へ向かった。

父はこういうとき無言だ。

恐らく内心では私の見方。
でも、あまり私の肩を持つと後の母からの仕打ちが怖いようだ。

ま、ほとんど二人きりなんだから仕方ないな。


少なくとも母は私の結婚を望んでいるんだということを確信できた帰省だった。