恋愛格差
体の熱はまだ冷めやらないが、
頭にはようやく冷静さが戻った。

優はまだ私の上に覆い被さっている。

視線だけを横に向けると
優のスラックスはしわくちゃになり、
私のジーンズがその上に乗っかっていて
下着やらはどこにあるのかわからない。


こんな強引なレイプみたいな事は初めて。

でもやっぱりいつもと同じ結果。

私はまた別れ方を間違えた。

優が好き。
優が欲しくてたまらない。

すでに全てを受け入れたこの瞬間も。

ふぅ~っと息を溢すと、
優は私の首筋に埋めていた顔をゆっくり上げて
切なそうな瞳を向ける。

「……ごめん」

黙って首を横に振った。

「……ごめんね。ごめん…」

そしてそのきれいな瞳から大粒の滴を溢した。

優はずるい。

でも私もずるい。
こんな男を毎回許して引き留める、ずるい女。

「……俺、別れたくないんだよ…」

うん、こんな都合の言い女なんだもんね。
結局体を繋げりゃ、そのきれいな泣き顔を見せりゃ、キープしとける。そんな女なかなかいないよね。

優の涙がどんどん私の頬に落ちてくる。

『惚れた方が負け』

やっぱり優には敵わない。
優の涙をそっと両手で拭ってあげた。
そして優しく顔を引き寄せ、チュッと唇を重ねた。

「うん、わかったよ…」

瞬間、優の顔が晴れやかな笑顔になった。

その穏やかな太陽の日差しみたいな顔を見ていると、
こんなに求めてくれてありがとう、とさえ思える。

仕方がないから
いつか優が私を必要としなくなるまで
彼女でいてあげる。

どんなに傷ついても。 
どんなに心がボロボロになっても。

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