恋愛格差
私たちは盛り上がり、「よーし!二次会だ~」と次の店を相談しているとき、

「あ、携帯鳴ってんぞ。」
と、カズが私の鞄を指した。

「あ、ほんとだ。でも先に会計……」
「俺、払っとくから店出とけよ。」
「じゃあ後で払うね。ありがと。」

私は急ぎめで店を出て通話を押す。

「はい?優?」

そう優だった。最近はメールより電話が多い。

『あ、まだ外?仕事だったの?』

こんな時間(すでに22:00)まで外にいることは
あの忌まわしき合コン以来だった。

「ううん。今、友達と飲んでるんだ。」

『へぇ。めずらしいね。もう帰る?
帰るなら迎えにいくよ。』

「もう一軒行こーってことになってるから、気にしないで。」

ほんとは週末の終電間近の電車には乗りたくはない。
あの痴漢騒動を思い出すから。
でもタクシー乗るほど裕福ではない……

しかし優に迎えに来てもらうなんて選択肢は
私にはない。


「とーこ~……あ!ごめん!」

店から出てきたカズが私に声を掛け、スマホを持ってる事に気付き、あっちへ向いた。

「ごめんね、優。友達出てきたから。何時になるかわからないし、迎えに来なくて大丈夫だから。」

またね、と通話を終了しようとした時、
『ちょっ!…ちょっと待って!』

と言う声に指が止まる。
もう一度耳に当てなおす。

早くカズと次の店行きたいんだけどなぁ

「どうしたの?」

『ど、どうしたのって!友達って……男!?』

「そうだけど?」

『なんで?なんで?もしかして二人だけ?』

「うん。幼馴染みなの。」

『おさな……そんな話、初耳なんだけど!』

「私も十数年ぶりなんだよ~幼馴染みってのも忘れてたくらい。」

アハハ~と笑うとスマホの向こうから起こった声が。しかも大きい声。

「帰ってきて!今すぐ!」

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