恋愛格差
彼がストーカーになりつつあります
家に着いたら優はいなかった。

あんな感じで電話を切った事に少し後ろめたさを感じ、
「もしかしたらまた来てるかも……」
と思った私は拍子抜け。

さんざん浮気しておいて、男とはいえ友達と飲んでる私を非難は出来ないはずよね……

しかし、一応スマホを覗いてみる。

スマホの時刻表示を見ると日にちが変わって一時間たった頃だった。

ありましたありました、着信履歴。
電話もメールも。

でもメールは1回。

あとは電話のようだ。

しかし「?」

優からの電話の着信履歴の合間に
なぜか三池さん!

仕事で何かあったのか?

三池さんからの電話着信からすでに一時間以上が経っている。

こんな時間に電話なんて非常識かと思ったが、
三池さんからの電話も12時前だ。

緊急なんだ!

一気に酔いが覚め、汗が吹き出してきた。
そして三池さんに電話を掛ける。

するとすぐ出た。
『お前~なんでだから電源落としてんだよ!』

「す、すいません!いろいろあって……何かありましたか!」

『あぁ?いい加減にしてくれよ~…俺を巻き込むなよ~』

巻き込む?
電話の向こうでゴニョゴニョやっている。

するとメチャクチャ大きな声が返ってきた。
『透子!今どこだ!』

は?
『今どこだよ!』

この声は
「…まさか、す、す…ぐる?」

『何処だっつってんだ!』

キ-------ン

こんなに耳元で怒鳴られて
漫画だったら目の前に星が飛び交ってるとこだよ……

「ど、怒鳴らないでよっ!ってかなんで三池さんと一緒にっ!」

『何処にいるっ…あっ!…』
『ハイハイ、そこまで~』

「三池さん……」

三池さんに携帯を取られたようだ。
いや、もともと三池さんのだから取り返されたということか。「落ち着いてね~」って声が聞こえる。

『お前さ、今何処にいる?』

「え?自宅です。」

『なんだかさ、ホンのさっきまで走り回ってたみたいよ、吉岡くん。お前を探して。

で、電話してきたんだよ、俺に。
「透子の行きそうな店知りませんか」って。

俺、既に家に着いてまったりしてたのにさぁ。
あんまり吉岡くんが必死だったもんで、何かあったのかと思って合流したんだよ。
そしたら立呑屋でビールと日本酒がぶ飲み。』

「マジですか……」

『じゃあ後はよろしく頼むわ。もう俺は帰って寝るからな!
あ、タクシー代はお前に請求するぞ!』

「えぇっ!彼に請求してくださいよ!」

『いんや親会社の吉岡くんには出来ないからお前にする!お前が吉岡くんに請求してくれ。じゃあな、バカップル!』

ブチッとはいわないがそんな音が聞こえそうなぐらいの勢いで切れた。

三池さんには悪いことしたなぁ……
部外者だもんなぁ…

そういえば優はどうしたんだろう。
三池さんが宥めてくれてるとか?

まさか……いや、あり得る。

酒の力とおっかなびっくりの三池さんからの電話のせいで頭が働かなくなってたが、今ハッキリ理解した。

来る。絶対来る。
ヤツは向かっている。……ここに!

私はカバンとスマホを手に立ち上がった。

「はっ!服……」

部屋着のままでは外に出れない。
その辺のコンビニにちょっと買い物ーならともかく、
もしかすると24時間営業のファミレスかネットカフェ辺りに朝方まで籠城しないといけないかもしれないのに……!

急いで部屋着を脱ぎ、その辺に投げたままジーンズを探しにクローゼットを開けた。


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