恋愛格差
カズとの再会以来、優は毎日帰ってくる、私の家に……。

これって同棲?
めちゃくちゃ強引なんですけど……!
私は許可してないんですけど!

知らないうちに宅急便で送ったはずの優のマグやスーツ、ゲーム機なんかも元に戻されていて、
それどころか、増えてるよ!

クローゼットと押し入れが圧迫されてる!

そしてうちの家計も圧迫されている。
だって、朝晩優の分までご飯を作らないといけないから。

どうしたものか……

いや、まぁ。きちんと付き合ってくれるなら問題はない。
そのうち嫁にでも貰ってくれるつもりなんだろうか。

最初はそれはそれはイチャイチャと付き合い初めのような密月だった。

しかし1ヶ月もすると突然
優の残業が増えた。
毎日終電組だから帰りつくのは午前様。
週末の休みも1日だけ。

「待ってなくていいよ。先に寝てて。」
とは言うものの……

最近、仕事が増えたんだろうか?
課長とかになっちゃったとか?

そんな噂はない。

優は何も言わないから、やはりまた疑ってしまう。

私を失わないままで、誰かと遊んでいるのでは……と。

どうして信じたいのに信じさせてくれないんだろう。

私だって特別嫉妬深くないし、
優を心から信じて好きでいたいのに、
目の前で疑惑が渦を巻いて待っているんだ。

疲れて帰ってきた優の寝顔を見ながら思っていると、
充電器に刺さったまんまの電話が鳴った。

優の携帯だ。

完全にビジネスフォンのベルを鳴らして振動しているスマホ。

寝ていた優はバッと起き、バタバタと小走りでスマホに手を伸ばす。

ちらっと見えたスマホの画面には
『市原』
名前が表示されているのが見えた。

「わるい!」と言いながらバスルームへ入り、こそこそ話していた。

しばらくして出てきた優に
「仕事?」

「うん、ごめんな。こんな夜遅くまで。」

「私はいいけど……大変だね……」

「大したことないんだけどなぁ…」

「そう?でも忙しそう。」

優は苦笑いして「今まで適当すぎたからな」
と私の頭をポンポンと撫でた。そして
透子も寝たら?とベッドの半分を空けてくれた。

「うん、これ飲んだら寝るね。」
と、飲みかけの缶チューハイを上げて笑う。

すると優はニコッと笑い、そのまままた目を閉じた。
10分もすると寝息が聞こえた。

そう、優を疑うその理由の一つ。
優の残業が増えてから私は求められていない。
これは浮気を疑うに十分な理由だと思えた。






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