恋愛格差
「……あぁ。あなたが例のおさななじみ……ね。
なるほど……で?なに?やけぼっくいにってやつ?」

やけぼっくい?

「さっちゃん!違うって!」
「どーでもいい!この時間に部屋に居るってことがそういうことでしょ!初恋の君と大人になってから出会って、さぞかし燃え上がったんでしょうよっ!」

初恋の君……

「カズ……初恋の君って…もしや私?」

カズはいきなり照れだした。
「いやぁ……お恥ずかしい…」

そこまで聞くと彼女さんは隣の寝室らしき部屋にドスドスと入っていった。

それを見ながら、今のカズの言葉を思い起こす。
うわぁ……こっちまで照れてきた。
まさか私がカズの初恋だなんて。

何となく二人で照れていると、目の前にドサッと黒いスポーツバッグが投げられた。

「お、俺の…」
パンパンに荷物か詰まったそのバッグを見て、カズは目をサッと顔を青くした。

そして、大きく開いたカズの瞳からは今にも涙がこぼれそうなほど溜まっていた。

なんで私の回りの男どもは皆すぐ涙ぐむんだろ。

「あの……ちょっと待ってください。」

彼女さんに遮られるより前に言葉を繋げる。

「こんな時間に来た私が言うのもなんですが、カズとはそういう関係ではないんです。

……それよりもあなたは……優の…職場の方なんですよね?」


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