恋愛格差
家に帰るとすでに優が帰っていた。
シャワーの音が浴室から聞こえる。
幸代さんと別れてすぐ帰宅したんだな。
スーツの上着は珍しくハンガーに掛かっていた。
その上着に寄ってみる。
タバコや油の臭いもするけれど、かすかに香水の香りがした。
記憶にあるこの香り。
優は少なくとも2度はあのスナックに行ってるんだ。
でも今日のスナックの滞在時間というと……
30分ぐらい?
とにかく一杯飲んで帰るぐらいの時間だ。
上客っていうのは長居せず、短い時間でたくさんお金を落とすのものだろう。
でも、優のように男前で話上手で(彼女としての欲目も入ってるが)
混まない時間に行ってるのだ。
喜ばれるに決まってる。
誰か好きなホステスがいるなら、もう少し……1時間ぐらいは居てもいいのではないか?
上客だと思われたいにしても、30分じゃ口説くことも出来ない。
そして午前様になろうとも優は必ず私の家に帰ってくるのだ。
酒が入っていて完全には回りきらない頭を働かそうとしているところに優のスマホが鳴り出した。
テーブルの上に置かれたまま、振動している。
そのスマホをゆっくり手に取る。
『市原』
苗字しか表示されないその画面に指をゆっくりスライドさせ、
耳に当てた。
『スグル?ゆかりです。名刺入れが落ちてたわよ。どうする?』
「…………」
『……?スグル?来週も来るでしょう?置いておく?必要なら取りに来て…』
「……わかりました。お伝えします。」
『……えっ!?』
そのまま通話終了を押した。
シャワーの音が浴室から聞こえる。
幸代さんと別れてすぐ帰宅したんだな。
スーツの上着は珍しくハンガーに掛かっていた。
その上着に寄ってみる。
タバコや油の臭いもするけれど、かすかに香水の香りがした。
記憶にあるこの香り。
優は少なくとも2度はあのスナックに行ってるんだ。
でも今日のスナックの滞在時間というと……
30分ぐらい?
とにかく一杯飲んで帰るぐらいの時間だ。
上客っていうのは長居せず、短い時間でたくさんお金を落とすのものだろう。
でも、優のように男前で話上手で(彼女としての欲目も入ってるが)
混まない時間に行ってるのだ。
喜ばれるに決まってる。
誰か好きなホステスがいるなら、もう少し……1時間ぐらいは居てもいいのではないか?
上客だと思われたいにしても、30分じゃ口説くことも出来ない。
そして午前様になろうとも優は必ず私の家に帰ってくるのだ。
酒が入っていて完全には回りきらない頭を働かそうとしているところに優のスマホが鳴り出した。
テーブルの上に置かれたまま、振動している。
そのスマホをゆっくり手に取る。
『市原』
苗字しか表示されないその画面に指をゆっくりスライドさせ、
耳に当てた。
『スグル?ゆかりです。名刺入れが落ちてたわよ。どうする?』
「…………」
『……?スグル?来週も来るでしょう?置いておく?必要なら取りに来て…』
「……わかりました。お伝えします。」
『……えっ!?』
そのまま通話終了を押した。