恋愛格差
これでよかったのでしょうか
「あ~モヤモヤする~」

頭を抱えて髪をぐちゃぐちゃにしている私を見て、三池さんとマキちゃんは目を丸くしている。

二人でヒソヒソと小声で
「どうしたんだろ?」「アノ日か?」「吉岡さんじゃない?聞いてよヒロ兄……」
なんて話している。

聞こえてるっつーの。

と思いながらも、二人にそんなことを言わせている自分のあからさまな苛立ちにさらに苛立ってくる。

仕事仕事。
「あ、ミキちゃん。T建設の請求書、作ってくれた?」

「はい!ただいま!」
「社長の判もらって出しといてね。」
「了解です!」

「じゃ、お先です。」

視線を感じるが、今は繁忙期ではないので残業は不要。
残業代を払う社長のためにも定時であがらなくては。

私ってなんていい従業員だろう。

なんて自画自賛したところで私の気持ちは晴れないのだが。


先週、髪も乾かさずにお風呂上がりのスウェットのまま出ていった優からの連絡は、勿論無い。

やっぱりゲーム機や私物を置いたまま。

自分のマンションに居るのだろう。

「私、間違ってないよね。」

誰にも聞かれないように小さく呟く。

優に言いたいことを吐き出した。
そしてそのモヤモヤはなくなった。

でもまた新たなモヤモヤが私を占めている。

何も教えてくれなかった。
そして、悲しそうに黙って出ていった。

「~なんなんなのよ、もう!」

説明を聞いてから別れたかった。
最後まで何にも認めなかった優。

「私にどうしろって言うのよ!」

痴漢を軽く撃退できそうなほど毎日モヤモヤ&イライラしている。

ずっと悶々としてようやく自宅に到着した。

ドアを開けると目につくのは優のスーツとゲーム機。
それがまた私を苛立たせる。

「も~!また送らないといけないのッ?!」

靴を脱いで鞄を放って、手も洗わずに大きな紙袋に優のすべてを突っ込む。

視界から優の私物が消えた。
「……取りに来なさいよ……バカっ!」

少し涙が出た。


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