恋愛格差
そう言われても……困る。
私はダンマリの優に愛想がつき、優は連絡もしてこない。
寂しいものだが別れが来たのだ。
一応彼女との別れの後なんだから、多少様子が違ってもそれは仕方がないのでは……と思う。
もうそっとしておいてほしい。大事にせず……
ただ、目の前の幸代さんは納得していない様子。
フーム
と、テレビドラマの探偵のように顎に右手を添えて何かを考えている。
「そうそう。吉岡くんが慌てて早退した時やトラブル続きの時、言ったのよ。「ある程度は誰にでもわかるようにしとけ!」って」
「……は?」
突然なんの話だろうか?
頭にハテナマークを乗っけた二人を他所に、彼女は話続ける。
「吉岡くんはね、自分の顧客のデータをどこかに残しといたり誰かに話したり殆んどしないのよ!全部頭の中に入ってるんだろうけど、いざ彼がいないと誰も対処できなくてさ~
私もおんなじなんだけどさ。こっちに火の粉がかかった時、ムカついて言ったのよ。
そしたら最近さ、ノートつけたり机整理したり小まめにしてるのよ。
「先輩の私の意見をようやく聞く気になったか~」と思ってたんだけどね。
……違うのかも。」
「違うとは?」
カズが不思議そうに首を傾げた。
「吉岡くん、辞めるのかな……って。」
辞める?何を?
「さっちゃ~ん。考えすぎでしょ……彼女にふられたからって会社辞めないでしょ、男が。」
「それが原因じゃないかもしれない。でも辞める前ってそうしない?」
会社を……?まさか……
「ただ、透子にフラれて落ち込んで、仕事だけに打ち込もうとしてるんでしょ?」
「打ち込む?それは違うなぁ。今週、全然数字あげてないし。それより後輩の面倒ばっか見てるわよ。
あ~言えば言うほど確信じみてきた!
間違いないわよ!」
なんで辞める必要が……?