恋愛格差
「…………はい?」
「本当に別れたの?」
本当に腹が立つ。
どういうつもりなんだろう。
思わず顔が強ばる。
しらを切る彼女に言い様のない不快感が込み上げる。
「何かお疑いですか?あなたは知らなかったのかもしれませんが、彼は浮気性なんで。でも私とは終わってますからご心配なく。会ってもいませんし、連絡もしていません。」
「携帯に繋がらなくて。メールしても返ってこないし。」
「私は連絡してないから知りませんけど。会社に連絡したらどうです?」
「あの会社の中には何人もお客さんがいて、電話なんてできないわ。」
そんなこと知らないし。
「とにかく!私はなんにもわかりません!優が会社をやめる理由も、あなたとの関係も!
……もうっ……帰ります!」
「……えっっ!?」
戸惑う彼女を置き去りに私は公園の出口に向かう。
肩で風を斬るように颯爽とその場を離れる。
せめて堂々としていないと惨めな気持ちが両目から溢れだしそうだった。
彼女がそんなことを私に聞いてくる理由や、
優が彼女と連絡を取っていない理由、
私にはわからないことだらけだ。
でもこれだけはわかる。
何もかもを一からやり直したい
きっと彼はそう思っている。
何が彼を追い詰めて全てを棄てさせようとするのか。
まだ何もわからなかったし、この先わかることがあるのだろうかと思っていた。