恋愛格差
それから週末が明けて月曜の夜7時。

私は帰宅途中の電車の中だった。

メールが届く。幸代さんからだった。

『大変大変!女が会社の前で待ってて、吉岡くんともめてる!』

何ですか。その三流ゴシップは……
幸代さんも大概好きだなぁ。キャリアのある人って何にでも精力的だな。

返信する気にもなれず、スマホをコートのポケットに突っ込む。
そして家の最寄り駅に着くともう一度スマホを確認すると

『女が泣いてる。吉岡くんは無視して帰っちゃった。』

『聞いてくるね。』

最後のメールの意味がわからず、ん?と思う。

まさか……

何を聞くつもりだ?だれに?優に?

「幸代さん……」

どこまで首突っ込む気なんだろう。

疑問を疑問のまま、放置しておかないとは素晴らしいことだとは思うが。

はぁ

と溜め息ひとつ。

このメルアドを着信拒否にしたかった。
仕方なく打った
『何を誰に聞くんですか?』

私の一言メールに返ってくる返事はなかった。



家で悶々とスマホと睨めっこ。

ようやく鳴ったのは最後の受信メールから30分後だった。

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