恋愛格差
仔犬との攻防戦

以前、優を見張っていたカフェに入って
カフェラテをオーダーする。

今回は窓際が空いてなかったので店内真ん中の大きなテーブル席へ。
一応待ち合わせだから問題ないだろう。
見張るわけではないし。


しかし、すでに7時前だけれど返信メールは無い。
もしかしてメールも読んでくれてないのだろうか。

念の為に幸代さんに優が会社にまだ居るのかどうか聞いておこうと思ったが、
よく考えたら前回の電話は気まずい終わり方だった為、
協力は仰げない。

幸代さんの性格からして、聞けば一つ返事で教えてくれるだろうけど、残念ながら私の性格が躊躇させた。

30分も経てばそわそわと落ち着きがなくなる自分に気づく。

待つものは長い。
時間が途方もなく永遠に感じる。

それも来るかわからないときた。

スマホはテーブルにおいたまま。
雑誌を読むこともなく、眉間にシワを寄せてカップを見つめるアラサー女。

きっとドン引きに間違いない。

他の人をじっくり観察する暇人がいれば……だが。

しかし私の不安を他所に、席について一時間もせずに待ち人が現れた!

「ハァハァ……透…子」

誰もが「急いで来ました!」ってのがわかるぐらい、優は慌て、息を切らしている。

確か優の会社は目の前だったよね?
走ってもたかが知れている。

頭に「?」を浮かべながらも、この優の姿が私の心をジンワリ暖かくした。

「ごめ……っ!ハァ……遅くなったぁ」

テーブルの上のカップが空なのを見て、立ったままの優は申し訳なさそうに謝った。

「やっ……いいよ!勝手に呼び出したの私だし……」
ブンブンと手を顔の前で振る。

なんだか色々ある前の二人に戻ったみたい。
別れ話なんて無かったみたいに。
< 86 / 124 >

この作品をシェア

pagetop