恋愛格差
「…………わかりました。」
ママの怒り様を見て、涙を止めたゆかりさんは腹を括ったように話し出した。
「すぐるは……あなたには知られたくないと思うんだけど。」
チラッと私を見て、膝の上に視線を戻した。
「中学卒業と同時に両親が離婚したの。今までも仲が悪かったからどうでも良かったんだけど、一緒に暮らす母が仕事にのめり込むようになって、その職場で彼氏がいたみたいで。仕事なのかデートなのかわからないけどとにかく前みたいには家にいなかった。
私を育てるために頑張ってたんだから、仕方がない……と今は思えるんだけど……その時は私も子供だったし、面白くなくて。
高校の遊んでそうな子とつるむようになったわ。
夜遊びするのに自由になるお金がほしくてバイトを始めたら、一年後すぐるが入ってきたの。
彼は擦れてなくて本当に『イイ子』って感じで、みんなに好かれていた。そんなすぐるがバイトの先輩として教育している私を尊敬してくれて、頼ってくれて、なついてくれた。
……初めてだった。
私の全部を肯定してくれるような人。」
大きく息を吸って、吐き出した。
それは過去を懐かしんでいる瞳は少し潤んでいた。
「そんな彼が私を『好きだ』と言ってくれた。天にも昇るようだったわ。
かっこよくて、可愛くて、性格も抜群のお坊っちゃまよ。あり得ないと思った。だけど、私も既に好きになってたから……私達は付き合うことになった。
初めは幸せで……気持ちが盛り上がって。
だけど付き合って1ヶ月もすると、怖くなってきたの……
いつまで私の彼氏で居てくれるんだろうかって。」
「……怖い……」
ゆかりさんが言おうとしていることはなんとなく読めた。
私もなんで優と付き合えているのかわからなかったし、
自分に自信がなかった。
「彼は…………ごめんなさい。その……初めてだったみたいで私との……その、所謂……セックスに夢中になって……あの……」
「え?えぇ!?」
急に怪しげな話になってぎょっとした。
それってわざわざ言うこと!?
元カノが私に?
「ホントにごめんなさいっ!こんなことは言っちゃいけないんだけど!でも!これを言わないと先に進めなくって……!」
ものすごく申し訳なさそうだから、取り合えず自分を落ち着かせた。
ゆかりさんは私に喧嘩を売ってるわけではなさそうだ。
「あ、あの……すいません、取り乱して……どうぞ、続きを……」