恋愛格差

「私は、その……遊んでたし、初めてじゃなかったし……
優はそんな私とのセックスを喜んでくれて。
でも会えばそういうことにすぐなって、だんだん体だけの付き合いみたいに思えてきて…」

私を見て「ごめんなさい」ともう一度謝る。

「これは私が感じたことなだけ。すぐるは優しかったし、ただ好きでいてくれたのかもしれない。
ただ私が不安になって、繋ぎ止めようとしただけなの。」

ゆかりさんは喉が渇いたのか、それとも勢いをつけるように氷が溶けたグラスの中身を飲み干した。

「すぐるとのセックスをこっそりビデオに撮ったの。」

なに?
なんですって?

ゆかりさんの話がすんなり頭に入ってこない。
パニック状態を通り越して思考停止。

ゆかりさんはじっと私を見つめている。
そのゆかりさんを私も見つめる。

「犯罪……だと思う。」

小さな声で呟いたゆかりさんの瞳にまた涙が込み上げてきた。
それをこぼさないようにパチパチと瞬きしている。

私は声も出ず、それを見ているだけ。

「すぐるはそれを知って滅茶苦茶怒って……当たり前よね。私だってされたら嫌だし。
それを警戒したすぐるは私から距離を置くようになった。

当然の事なんだけど。

でも私はそのビデオで脅したりしていない。
ただ、遊び友達の男の子と『彼氏は上手いのか?』って話になった時に『頑張ってるよ、かわいいし。』って……

『どんなんだ、年下は?』って聞かれて
その子も興味津々な時期だったんだろうけど私も悪のりしてて
『見る?』って言ってしまって……

少し……その時お酒が入っていたの……

それが回り回ってすぐるの耳に入ったらしいの……」

私は唖然とした。
怒りすら沸いてこない。

なに?この話……

三流小説みたいな実話?

なんだか知ってる人の話とは思えない。

そもそもこれは事実なのか、ゆかりさんの嘘なのか
さっぱりわからない。

わかるのはゆかりさんがものすごくすまなさそうにしている……ということ。
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