甘えたがり煩悩
そして、傍らにいた可愛い女の子ににっこりと笑みを浮かべる。
「付き合わせてごめんね」
「あ、ううん。いいよ全然」
「じゃあ、また明日」
「う、ん」
この世の中には、知らないほうがいいと思うこともある。
たとえばそれは、私とほかの女の子に対する態度の差だったり。
たとえばそれは、私とほかの女の子に向ける笑みの違いだったり。
そういうものを、目の前で見せつけられるとちくりと、胸の痛みはやってくる。
後輩は、私にだけ、なぜか優しくない。あんな風に微笑んではくれない。私の言葉に突っ掛ってくる。嫌味しかいわない。
たぶん、おそらく、私は後輩に嫌われている。
そして、その差を見せつけられてへこむ私は、この後輩のことが、いまだ好きなのだ。