異聞三國志
第一章 何が起きたのだ
ここは21世紀の日本、つまりは倭国の末裔達が住むところ。

「全く、何で俺がやらなきゃいけない訳?」
士郎は、ふて腐れていた。彼は実家の神社の掃除を手伝わされていたからである。

「お前が暇してるからじゃ、ボケ」


祖父である神主の周一郎は、夏休みで帰省してきた士郎を上手く使っていたのであった。

「次は、本殿の掃除じゃ」


「へい、へい。」


彼は、居候させてもらってる手前、いやいやながらも、やらざるをえなかった。


そこへ、

「おじさん、こんにちは。あ、士郎ちゃん。」


「だから、士郎ちゃんじゃねぇし。俺の方が年上だから。」


その綺麗な高い声を持ち、青空のようなさわやかな笑顔の少女は名を戸田理沙子といった。


「今日も暑いから気をつけてね、おじさん。士郎ちゃん、また来るね。」


「だから、士郎ちゃんじゃねぇってのに。」

理沙子は去っていった。


士郎は文句をいいながらも、まんざらでもなかった。


「理沙子ちゃん、成長したろう?」


「どこ見てんだよ、エロじじぃ!」


周一郎は、少し奥へ下がったので、士郎は少し休憩した。


「ったく。」


といいながら、ふと御神体に目がいった。御神体自体は、普通の丸い御神体であったが、その前に一つ笛があった。


士郎は、何気なしに笛を眺めていたが、周一郎がまた戻ってきた拍子に自分のカバンに入れた。何の気なしに笛に関心をもったのである。


夜、士郎は周一郎に


「なぁ、じいちゃん。あの御神体の側の笛は大切なものなのか?」

「あの笛は畏れ多くもかのヤマトタケルの皇子が東征のおりに、持っていたとされる由緒ある笛じゃ。」


「え、ヤマトタケル。だったら千年もたってるのに、綺麗だし。おかしくね。」


「うるさい!あれはそう言い伝えがある。そして・・・。」
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