異聞三國志
「で名は何と申されるのか?」

「虞平・・・。つまりは私の息子じゃ。」


「何と!ご子息とは・・・。」

「私が医術を少々心得ておったのは知っておろうが、その面を強く受け継いだのが、平じゃ。三男じゃからと、放っておいたのが、良くなかったかのう。政治家向きは四男のシ位かの。」


「平様を必ず見つけ出します。それは我が国いや敬愛する丞相閣下のためでもあります。」


「諸葛亮か。あの柴桑での論戦をしたのが、もう20年前になるか。懐かしい・・・。よし、儂も先は短い。息子にも会いたい。頼んだぞ。諸葛亮や瑾殿のためにもな。」


こうして、士郎は呉の首都建業に新年の慶賀を終えた後に、理佐子もかの地に諸葛瑾に預けて、単身山越の地へ向かうことになった。
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