異聞三國志
第四章 山越
山越 山岳狩猟民族であり、度々反乱を起こした。

呉はその対策に頭を痛めていた。

そんな荒々しい民族の地に士郎は入りこんだのである。

なるべく怪しまれないように、彼も狩人の格好、それも弓以外はみすぼらしい、汚い服装、頭もボサボサで旅した。


どこへいっても

森 また森

しかし、まだ熱帯性の樹木よりは常緑広葉樹の森であった。


“新年祝賀から間をおかずに出て正解だったか”


冬が幸いした。避暑をあまり考慮しなくてすんだのである。


彼自身はなるべく街道を歩くようにした。漢語の通じる者には、必ず尋ねたが、成果はなかった。


“交州までにはいるはずだ。”


士郎は、交州ー今のベトナム付近で数年前までは士燮とその一族が支配していた半ば独立国であった。そんな交州にはいないと読んでいた。


“虞平殿が、引遁された時期は、士徽の反乱が起きた時期だったしな。となると、やはり深山に分け入るしかあるまい。しかし、途方もないぞ。”


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