異聞三國志
士郎

「な、なんですか」

「おお、貴殿は漢人か」


漢語であった。


「つい、山越族かと思ったが。して、漢人の狩人がうちに何の用かな?」


「こんなお姿で申し訳ない。拙者は諸葛庶と申します。あなたは?」

「賀シと申す者。ここらでは、少ない農民兼医者じゃ。」


「賀し殿、ここらに優秀な医者がいると聞いてきたのですが。」


「ほう、貴公は具合が悪いのか?どれ見てしんぜようか?」

「いや、私ではないのです、悪いのは。」

「連れでもいなさるか、じゃあ連れて参るがよい。私は優秀な医者ではなく、農業の傍らでの真似事程度だが、お役にたてようか。」

「いや、ここにはおりません。いるのは・・・成都。」

「遠いのぉ、成都とは。では無理じゃな。」

「待ってください、賀シ殿。いや、虞平殿。」

「何故にその名を。」

「お迎えに上がりました、虞平殿。貴方の父君はもう老いられている。建業にお戻りください。そして、出来たらわが国の丞相閣下の病を治して頂きたいのです。」


「何だと、諸葛亮殿とな。」
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