異聞三國志
第六章 抗生物質
こうして、一応の素材は整えることは出来た。

理沙子達が帰るまでに、先に着いた士郎達は天草を干したりして、準備をしていた。


で、理沙子一行が着いたので、さっそくシャーレ作成に取りかかった士郎であった。

ペルシャ人[現在のイラン人]の職人は当時やっと西域に伝わったガラスの吹き込み工法を会得していたので、難しい注文ではあったが、何とかシャーレを作ることは出来た。


寒天は容易に出来た。

問題はこれからであった。


「とりあえずまずは、竹林から放線菌を培養するか・・・。」


といっても、顕微鏡もない状態・・・。

とりあえずは、土を寒天の上に薄くしいて、様子を見るしかなかった。


数日後、寒天の色が薄くなった部分[菌が繁殖した思われる部分]に蟹の甲羅を干して、砕き粉にしたものをまいた。

キチン質を好むのが放線菌だと思われるので。

更に数日後、シャーレのやはり変色した部分だけを慎重に別なシャーレに移し、更に蟹の甲羅の粉を薄くしいた。

すると更に変色した。

「育ってくれ。」

士郎は祈った。
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