異聞三國志
しかし、虞平が呉に戻されたのには、やはり意味があった。


呉で蜀との盟約を破棄し、魏と結ぶべしとの結論に至ったのである。


諸葛瑾は無論反対であったが、君主孫権の一族などから、魏と結ぶべしとの強い働きかけがあったので、孫権が決断したのであった。

鍵を握るあの大都督 陸遜は何故か黙っていた。陸遜も判断をつけかねていたのである。

こうして、呉は蜀との対決に向かおうとしていた。


諸葛瑾や諸葛恪、虞平らは屋敷に籠った。彼らはやはり諸葛亮や士郎のいる蜀とは戦いたくはなかった。


このような動きを諸葛亮が知らないわけはなかった。彼は玄武隊や朱雀隊から呉離反の情報を得ていた。

士郎を含めた諸将は、洛陽に移った丞相府に呼ばれた。


『呉が魏と組み、我が国を狙っているらしい。』


諸将は動揺していたが、一人司馬懿は平然としていた。司馬懿もまた独自に情報を掴んでいたのである。


『よって、私は先に別動隊で魏を滅ぼし、主力は呉の侵攻を食い止めようとおもう。』


『丞相、何故ですか?主敵はもう呉であるはず。』


魏延がまくしたてた。
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