黒王子と白いプリンス
教室に戻ると、春代が来ていた。
「あ、由乃〜」
いつものように私を呼びながら近づいてくる春代。
「さっき、プリンスと話してたでしょ?」
「あぁ、うん。昨日のパーカーを『王子』に返しにね……」
「あ、そうか‼︎王子とプリンスって同じクラスなんだ‼︎」
「みたいねぇ。」
「まぁ、本題はそこじゃないのよね。瀬尾くんの話なんだけど、あの人、いつも屋上でご飯食べてるらしいよ‼︎」
「そうなんだ……今日、文句言いに行こうかな…」
「行こ行こ‼︎‼︎一人じゃ危ないしついて行くよ‼︎‼︎」
「よし‼︎‼︎がんばろー‼︎‼︎」
私達がそう決意したのが聞こえていたようで、同じクラスの男子の赤嶺誠が言った。
「そういうのは女子だけで行くのも危ないと思うけど。」
「なによー誠ー⁉︎あんたも来てくれるとか言うわけ?」
春代が言った。
春代と赤嶺くんは幼なじみだから仲がいい。
「行ってやるよ。瀬尾はサイテーなやつだしな。」
こうして、赤嶺くんも一緒に行ってくれることになった。