黒王子と白いプリンス



『王子』が私に近づいてきてしゃがんだ。


「……何してたの」


「あ、その……」


「……はぁ……」


『王子』はため息をついて立ち上がった。


そして、私に手を差し出した。


「え……」


「ほら」


私は手につかまった。


「いたっ……」


立ち上がると足から血が出ていることに気が付いた。


「あ……怪我してる……」


「保健室。行けば」


「このくらいなら……大丈夫だよ」


「あっそ……」


「あ、浅倉くんは、いつも屋上にいるの?」


「いる。」


「へ、へぇ……」


話が続かない……


「……あんたが来ると、ここ落ち着かない。」


「あ、ごめん……」


もう来るなってこと?


「別に……俺のものじゃないし。」


よく見ると、浅倉くんはイヤホンをつけていた。


よく音楽聴きながら話ができるな……


「浅倉くんは、いつも何を聞いてるの?」


「何も。」


え?何も?何も聴いてないってこと?


「何も聴いてないの?」


「人よけができるから。」


あ、話しかけるなってことね……


「中学のころからうるさい女が話しかけてきてうざかったから。」


中学生の時からかっこよかったんだ……




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