嘘つき少女。
はじまり。
あたしは今、ある高校の校門の前にいる。
ただ、門が閉まっている。
「………たかが1分の遅刻じゃん。」
そう、今日からあたしは高校生なのだ。
しかし、ゆっくりと歩きすぎたのか1分だけ遅刻してしまった。
まぁ、この高校ならそんなの許されるだろうと思っていたあたしがダメだった。
見事にガッチリと施錠されている門があたしの前にある。
「……んー、入学式だったのになぁ。」
ぼーっと慌てるようなこともなく、客観的に考えていた。
「………帰ろう。」
どうせ、あの人から明日聞けばいい。
あたしは今来た道を戻るために身体を反転させて、歩き出そうとすると。
ドンッ。
「………あっ……。」
誰かにぶつかり、勢いよく振り向いたため身体が強い衝撃に耐え切れず後ろに傾く。
…………あー、あたしこのままコケる……。
くるであろう痛みに少しだけ顔をしかめそうになった時。
「………悪い。怪我はねぇか。」
誰かの腕があたしの腕を力強く掴んでいた。