アイドルのアンタとヲタクなアタシ 。
彼はアイドル 。
『は、はい。エキストラです。お忙しかったですか?』
「ん。いや。忙しくはないかな?」
よかった。忙しくないって。
『よかったで…「慧ー?誰と電話してんのー?」
女の人の声が電話の向こうから聞こえた。
ああ。当たり前だ。
だって彼はアイドル。彼女ぐらい居る。
なのに、アタシ、舞い上がって……
なんだか自分がものすごく恥ずかしくなって黙って電話を切った。
『……はは、そりゃそうだ。』
恋愛もろくにしたことのなかったアタシはすっかり忘れていた。
楠木慧はアイドル。アタシはただの一般人。
勝手に期待していたアタシは予想以上にショックを受けていた。
神様、少しでも夢を見させてくれてありがとう。
美貴は明日からまた頑張ります。
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