アイドルのアンタとヲタクなアタシ 。
知りたかったから 。
その日、アタシは仕事が終わらず残業をしていた。
外は真っ暗で気づけばもう9時だった。
『ん~、少し休憩しよ……』
ブブブ… ブブブ…
携帯が光る。
誰もいないオフィスにマナーモードのバイブレーション音が静かに鳴り響いた。
画面には見覚えのある番号。あの日手のひらに書かれた番号だ。
一気に身体が熱くなった。
『も、もしもし……』
「出んの遅いよ。今どこ?」
『オ、オフィスです…けど…』
「よっしゃビンゴ。開けて。」
開けて?
アタシはハッとして急いでオフィスの入り口に向かった。
『はぁっ…… はぁ…』
なんで?
「久しぶり。」
なんでいるの?
『なんで……?』
「なんでって… 君の名前知らなかったから。」
『え、』
「名前、教えてよ。」
*