彼女が虹を見たがる理由
出会い
水が跳ねるような音が聞こえてきて、俺はグラウンドへと足を向けた。
太陽は沈みかけていて見慣れた街をオレンジ色に変えている。
部活動をしている連中の姿はなく、俺も早く帰ろうという、矢先の事だった。
グラウンドへ出た時、そこに1人の少女の姿が見えて俺は「あっ」と小さく口を開いた。
小柄で長い黒髪を1つにくくっているその少女の名前は村田桃葉(ムラタ モモハ)。
同じ2年B組に在籍しながら会話した記憶はなく、小柄な彼女は不思議ちゃんとして有名な生徒だった。
なぜ彼女が不思議ちゃんなのか、それは目の前の光景を見ればわかった。
村田さんは太いホースを持ち、校庭に水撒きでもするかのように大量の水を噴射させているのだ。
俺は思わずその光景をぼんやりと眺めてしまった。
村田さんはいつ、どのタイミングで、どうしてだかわからないが、水をまきたがる。
例えば昼時の教室で。
例えば登校時間の廊下で。
自分で持参したらしいゾウさんジョウロを使って、周囲の迷惑を意に介せず水まきをしている姿を、俺は幾度となく見かけていた。
太陽は沈みかけていて見慣れた街をオレンジ色に変えている。
部活動をしている連中の姿はなく、俺も早く帰ろうという、矢先の事だった。
グラウンドへ出た時、そこに1人の少女の姿が見えて俺は「あっ」と小さく口を開いた。
小柄で長い黒髪を1つにくくっているその少女の名前は村田桃葉(ムラタ モモハ)。
同じ2年B組に在籍しながら会話した記憶はなく、小柄な彼女は不思議ちゃんとして有名な生徒だった。
なぜ彼女が不思議ちゃんなのか、それは目の前の光景を見ればわかった。
村田さんは太いホースを持ち、校庭に水撒きでもするかのように大量の水を噴射させているのだ。
俺は思わずその光景をぼんやりと眺めてしまった。
村田さんはいつ、どのタイミングで、どうしてだかわからないが、水をまきたがる。
例えば昼時の教室で。
例えば登校時間の廊下で。
自分で持参したらしいゾウさんジョウロを使って、周囲の迷惑を意に介せず水まきをしている姿を、俺は幾度となく見かけていた。
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