彼女が虹を見たがる理由
「え、なにこれ。俺に?」

「あぁ。雄和もそろそろ年頃だ。可愛い子を誘って行けばいい」

そう言われて、一瞬村田さんの顔が浮かんだ。

確かに可愛い子だけれど村田さんを誘ったとしても来てくれそうにないし、遊園地で会話がないのは一番つらい。

あ、でも……。

村田さんと野間を一緒に遊園地に行かせるっていうのはどうだろう?

村田さんは野間の事を悪く思っているようには見えなかった。

むしろその逆だ。

俺が野間の名前をネタにした時に村田さんは怒っていた。

それはつまり、野間に好意を抱いているからじゃないだろうか?

「ありがとう、父さん」

このチケットは有意義に使わせてもらう事にしよう。

そう思い、大切にポケットにしまったのだった。
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