彼女が虹を見たがる理由
☆☆☆

学校は休みだけれど、突然の悲報は瞬く間に広まって行った。

野間のクラス連絡網から仲の良い友人たちに伝わり、それが学校のスレッドに書き込まれたのだ。

俺はそのサイトに書かれている事を読んで、息を吐き出した。

今はファミレスにいて目の前には本田が座っている。

学校で見るよりも堂々とした感じだ。

「まさか、こんなことになるなんて……」

「本田、なにか心あたりは?」

「あるわけないだろ!?」

首を左右に振る本田。

クラスで唯一会話できる相手が突然自殺したことで、本田の顔色が悪い。

嘘をついているようにも見えない。

「野間はとても大人しい奴だった。人には言えない物を背負っていたのかもしれないな……」

俺はそう呟いて、一口水を飲んだ。

サイトを読んでみても自殺の原因は何も書かれていなかった。

誰も、なにも知らない様子だ。

「葬儀は明日だ。自殺だから大人数じゃ行かない方がいいだろうって先生は言ってる」

「そっか……」

それなら俺が参列することは避けた方がいいかもしれない。

クラスも違うし、あまり会話もしたこともない。

行くのはやめよう。

そう思い、俺は肩を落としたのだった。
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