彼女が虹を見たがる理由
驚くほどに周囲は静かだった。

まるでここだけ異世界にでもなってしまったような感覚。

途端に肌寒さを感じて、身震いをした。

「ここで事故を起こしたのは、平野雄和と野間マサノの2人だった」

ズドンッ!!と、大砲を胸に打ち込まれたような衝撃だった。

目の前がゆがんで、メマイがする。

喉の奥はカラカラに乾いて、立っているものやっとだ。

「どうしてそう思う?」

だけど俺はほほ笑みを浮かべてそう聞いた。

「被害者に、そう聞いた」

村田さんはそう言い、道路へ視線を向けた。

そこに被害者の幽霊でもいるのだろうか。

「面白い事を言うね」

俺は声を上げて笑っていた。

幽霊がそう言いました。

それが通るとでも思っているのだろうか?

犯人はすでに捕まった。

クラスメートの内山和輝。

あいつがひき逃げの犯人で、この事件はすでに解決している。
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